【作詞講座vol.2】タイトルを考えよう②

今回はBパターンです。こちらはかなり汎用性の高いタイトルが作れると思うので
皆さん今回も頑張っていきましょう。

Bパターン

①漢字(日本語)+②助詞+③カタカナ英語

ややこしく見えますが①と③の間に「の」(「な」でも可)を追加するだけです。
現在でもよく使われているかと思いますが、80年代に大流行したのでタイトルのイメージ的にはやや古風な作品になる事に注意して下さい。

1971年に天地真理から始まったと言われる「アイドルソング」の歴史はどちらかというと歌謡曲の系譜の音楽かと思われがちですが個人的な見解では1960年代にデビューした洋楽のカバー歌手の音楽とのサラブレットの系譜だと思います。

天地真理はデビュー当時20歳と、現代のアイドルに比べるとやや高齢です。
しかし60年代のカバー歌手のデビュー年齢は

弘田三枝子 14歳
梅木マリ 12歳
伊東ゆかり 11歳
後藤久美子 5歳


※国民的美少女とは別人です

現在から比べてもかなり若いです。
なんだかとりあえず若けりゃいいみたいな風潮も当時あったそうで、
「偶像としてのアイドル」として見た場合、日本においてはカバー歌手の系譜の方が近い気がします。
当然洋楽のカバーなのでタイトルも

子供じゃないの
チャールストンでキッス
マイ・ボーイ・ロリポップ

等、カタカナ多様で今でも通用するような素敵なタイトルも多いです。


※かわいいマリちゃん。

カバー歌手は基本的には顔よりも歌唱力という所があり、
アイドルとしてはちょっとどうなの的なルックスの歌手も多いです。


※ま、万代さん…?

70年代に入りそれまでは絶対とも言えた「歌手=歌が上手い」というイメージをぶち壊した

浅田美代子・風吹ジュン・大場久美子・能勢慶子

四魔貴族の登場により「アイドルソング=歌が下手」というイメージが定着しました。
天地真理も当時は音痴呼ばわりされていたようですが、音源を聞いてみると四魔貴族の足元にも及びません。
実際当時から歌が上手いアイドルも多数いたのですが、彼女達のインパクトは相当強かったようです。
しかし、これはアイドルソングに新たな可能性を示す一大事件なのです。
音痴でも歌手になれる…と世間へアプローチできたわけですから。

そんな混沌の70年代も終わり80年代に入ると、
我らが甲斐智枝美が「スタア」でデビューします。


※参考画像。80年代アイドルの金字塔

アイドルソングとして見た場合、この曲、実は聖子のデビューよりも意味があるのです。
船山基紀先生による電子音炸裂のこのオケのインパクトによって
アイドルソングにさらに「キラキラ要素」が加わります。

人によっては最初の電子音アイドルソングは同じ1980年6月発売の榊原郁恵のROBOTなのでは?と思う人もいそうですが、これは後の作曲講座にて説明しますがコード的な問題で智枝美に軍配を上げたいと思います。
何しろ彼女は80年において早くもFG循環ですからね…。


※電子音うんぬんの話ならこの曲の立場がなくなりそうですが…。

そんなアイドルソング史の中での衝撃が走る80年代で流行したのがBパターンです。

普及させたのは言うまでもなく松田聖子でしょう。

渚のバルコニー
小麦色のマーメイド
天国のキッス
天使のウインク

などなど枚挙に暇がないです。

実際の80年代以降のアイドル楽曲を見ても

【色系】

春色のエアメール 松本典子
夏色のナンシー 早見優
夢色のスプーン 飯島真理
夢色のメッセージ 西村知美

【雨系】

霧雨のダイアリー 大根由佳
雨のカテドラル 佐野量子
雨のハイスクール 芳本美代子
雨のプラネタリウム 原田知世

【渚系】
渚のシンデレラ 柏原芳恵
渚のファンタシィ 酒井法子

【風系】
微風のメロディ 河合奈保子
風のプリマドンナ 宇佐美ゆかり
風のInvitation 福永恵規
風のマドリガル 南野陽子
北風のキャロル 荻野目洋子
春風のリグレット 田山真美子

【空系】

星のシンフォニー 志村香
虹のDreamer 浅香唯
月夜のゴンドラ 堀川早苗
太陽のハレーション Pumpkin

【季節系】

陽春のパッセージ 田中陽子
夏のバルコニー 若林志穂
真夏のトレモロ Wink
秋のIndication 南野陽子
冬のオペラグラス 新田恵利

【意味深系】

再会のラビリンス 河合その子
殺意のバカンス 本田美奈子
禁断のテレパシー 工藤静香
横顔のフィナーレ 芳本美代子
硝子のキッス 姫乃樹リカ
背徳のシナリオ Wink

【キラキラ系】

楽園のDoor 南野陽子
天使のボディガード ゆうゆ
天使のカウントダウン 中野理恵
魔法のビート 里中茶美
光のオペラ 中山忍

【のが多い系】

風の谷のナウシカ 安田成美
夢の中の輪舞(ロンド) 志賀真理子
瞳の中のファーラウェイ 長山洋子
不思議の国のフェアリー・テール フェアリー・テール

等、本当に多いです。

Aパターンはなるべく離れた単語を付けると良いのですが、
Bパターンにおいては助詞を入れるので
タイトルだけでそれなりに意味が分かるようにするのがコツです。

なので、今出したタイトルを入れ替えると

雨のバルコニー
天使のメッセージ
秋風のシンフォニー

等は問題ないですが(「天使のメッセージ」は言いづらいので私なら「天使からのメッセージ」にしますけど。)

殺意のハイスクール
殺意のオペラグラス
殺意のナンシー

などは全てがひばり書房のホラー漫画のようになってしまうので
残念ながら不採用という形になります。


※ちゃんとBパターンですがダメな例

…まぁ「殺意」が本来ならダメなのでしょう。
やっぱりいくらツッパっててもアイドルに「殺」とか「恐怖館」はダメでしょう。


※この方は不良なので可とします。

気づいた方も多いかと思いますがAパターンと違って「漢字一文字」でも問題なく付けられるのも利点です。
なので 星 夢 風 渚 恋 愛 春 夏 秋 冬など等漢字一文字で意味があるものなら全てOK。

カタカナ英語はAパターンによりも現在浸透している言葉の方が好ましいです。
ただし「恋の」「涙の」は60年代のカバー歌手によって流行っています。
後ろに続くカタカナ英語によっては相当古臭くなってしまう点にも注意してください。


※まぁ60年代のカバーなんですけどね。タイトルが古臭すぎます。

さて、③についてですが、既に日本にとってカタカナ英語として普及している言葉が前提ですが、その他にも音楽用語などは特に使い勝手が良いかとおもいます。

交響曲 シンフォニー
練習曲 エチュード
協奏曲 コンチェルト
小奏鳴曲 ソナチネ
夜想曲 ノクターン
幻想曲 ファンタジア
終曲 フィナーレ

等は即戦力ですね。とりあえず前に「風の」と付けておけば80年代的には問題ないでしょう。

ただ日本人はカタカナ英語には「文字による先入観」があるので、あまり聞きなれていない言葉にすると

受難曲 パッション…パッション屋良を思い出してしまう。
六重奏 セクステット…六だしセクスだし乱交パーティを想像してしまう。
舟歌 バルカローラ…カローラ2にのってしまう。八代亜紀を思い出す。

こんなように問題があるカタカナ英語もある事は頭にいれておいてください。
あくまで普通に聞いた事があるカタカナ英語程度にとどめておくのが重要です。

この漢字一文字の所を色にする場合は、2パターンあります。

例えば「白」でいきたい場合

白い〇〇
白の〇〇

になります。これは本当にもう自分の趣味で良いとは思うのですが、
例えばシンフォニーを後ろに付けてみましょう。

白いシンフォニー
白のシンフォニー

同じような意味なのですが、
白い~だとシンフォニーという言葉自体が白く感じ、
白の~にすると、シンフォニーという言葉が白い空間の中にあるような微妙な違いがあるか思います。

例えば

沢山の木に囲まれて
木々に囲まれて

これもどちらも同じ意味ですが、印象は違いますよね。イメージに合う方を採用して下さい。
日本語ってステキ。

そしてこの色パターンだけは造語も可能です。
〇色の~と表記すればよいだけです。実際に色がない言葉だとかなり有効です。

一番やりやすいのは

夢色
風色
春色

あたりでしょうか。
実際夢色と言われても未だにどんな色かは知りませんが妙な説得力があります。


※功労者の皆さん。

この点を意識すれば本当に簡単なので適当に組み合わせるだけですぐできるかと思います。

ただしBパターンはタイトルがすぐ出来る半面、
当然インパクト的にはかなり薄くなります。

Bパターンのタイトルにする時は
かなり歌詞とメロディを気合を入れないといけない事は頭に入れて下さい。
そしてとりあえずそのタイトルでぐぐりましょう。
すでに存在している可能性も高いです。

とりあえず適当にタイトルを考えてみました。

魔法のウィークエンド
鼓動のモノクローム
制服のシークレット

ほら、なんかそれっぽいでしょ?
ファミチキを食べながら作りました。簡単なんです。本当に。

さぁこれで第二回目は終了です。
タイトル講座はなんとまだ続きます。

それほどアイドルソングに対してタイトルって大切なんです。

次回は「パロディのタイトル」です。

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