【作詞講座vol.1】タイトルを考えよう①

さぁ作詞をしよう!と思ったあなたはとりあえず歌詞の内容を考えたり
とりあえず歌詞をいきなり書き始めたりするかと思います。

実はそれが大きな間違いです。

実はこの手法で作詞を初めてしまうと高確率で

「自分の気持ちや過去をそのままダイレクトに歌詞にしてしまう」というかなり恥ずかしい展開になりがちです。
しかも高確率で「まだ見えない何かを探す」「光の射す方へ向かう」「つまらない日常から抜け出す」事になります。

よく私も自分の事を書いてであろう歌詞を目にしますが

あなたたち、そんなに人から共感を得て、人から感動するような人生を歩んできたのか?

と問いただしたい所です。

私自身人から褒められる人生は全く歩んでないです。むしろ非難されるべき存在な気がします。
だから私も何も考えずに歌詞を書くとやっぱり、学生時代は発展トイレに入り浸っていた等事実をかけるはずもなく、とりあえず当たり障りがない上に、なんとなくかっこいい感じがするとの理由で

つまらない日常から抜け出して光の射す方に存在するまだ見えない何かを探しがちになります。

一体なんなんですかね。その何かってのは。おそらく書いてる本人も分かってないですよね。

我々が今から始めるのは作詞です。
「詩」ではなく「詞」を作るのです。

捏造しなければいけません。

そこをまず頭に入れておいてください。

さてアイドル楽曲に対して一番大事なのは「タイトル」です。

どんなに自分の中で素晴らしい楽曲が出来てもタイトルがひどいと全て台無しです。

なので意外に思われる方も多いかもしれませんがまずはとりあえず作詞をするにあたって

真っ先にタイトルを考えて下さい。

少女漫画もそうですよね。
たとえあの名作「ガラスの仮面」も例えば「マヤ物語」なんてタイトル付けたら
そもそも誰も手に取ってくれないと思うのです。

私が好きな漫画で「まゆ子の季節」という70年代の漫画がありますが、
タイトルだけ聞くとまゆ子がなんか彼氏が出来てくっついたり離れたりしてそうな仕方のない漫画に見えますが
なんとこれ美容師の話なんです。しかもライバルの登場や師匠への決別等割とハードな展開だったりします。
これが例えば「虹のカットライン」とか「シザーにかけろ!」とか「ヘアードレッサー」だったらもう少しメジャーに慣れた気もします。
まぁ文庫化もしてる上に内容は面白いので有名な漫画なんでしょうが実に惜しい。


※参考画像。読み始めるまで美容師の漫画とは夢にも思いませんでした。

我々は所詮素人作家。

少しでも周知してほしいなら最初に必要なのは「お?」と思わせる視覚的なインパクトなのです。

「そんな事言われてもいきなりタイトルなんて思いつかない」

そう思われる方も多いかもしれません。

そんな方のために何パターンか用意してみました。
今日はAパターンについて勉強して見ましょう。

Aパターン

①二字以上の熟語+②カタカナ英語

これは2000年以降のアイドルに多いパターンです。70年代にも割と使われていたのですが
80年代になると急に息を潜めたイメージです。
2000年以降の例をあげると

永遠プレッシャー AKB48
重力シンパシー AKB48
片思いFinally SKE48

こんな感じですね。

80年代とかだと

純情レジスタンス 渡辺桂子
片想いグラフィティ 真弓倫子
風色タッチ 菊池陽子

ですかね。

これには若干のコツがあって①と②の意味合いが離れいた方がそれっぽいです。
そしてアイドルなのでやはりどちらもアイドルとしてプライドを捨ててない綺麗な言葉を充てるべきです。
そしてできるだけ①は見ただけで分かるような簡単な単語を選びましょう。

ちなみに造語は危険です。夏星とか舞雪とか恋空とか聞いたことない単語は宝塚音楽学校の本科生と美嘉さんに任せておきましょう。

ふさわしい単語
青春 永遠 教科書 愛情 友情 感情 恋人 初恋 夏色 夏空 太陽 瞬間
ふさわしくない単語
罵声 貪欲 羅刹 夜叉 禁欲 梶芽衣子 桂昌院

そして次は②です。こちらに関してはもちろんわかりやすい単語でもよいのですが個人的には難しい単語の方が今時になるかと思います。
一番おすすめなのは「日本語ではよく聞くけど言われてみれば英語でなんて言うかわからない単語」です。

例えば「青春パーティ」なんてタイトルにした場合、なんとなくもうタイトルから内容が想像出来て聴く気が起きなくないですか?おそらく友達みんなでパーティをやったら楽しくて僕たち青春してるなくらいの内容が関の山でしょう。

こういうのは若林加奈さんに任せてこっちはもう少し考えてみましょう。


※参考画像。1分で作ったようなタイトルが秀逸。

とりあえず

「調べたい単語 英語」

ググります。

試しにいくつかググってみました。

ななめ Aslant アスラント
孤独 Solitude ソリチュード
胸騒ぎ Premonition プリモニション
直感 Intuition イントゥイション

こんな感じでした。
検索結果にいくつも候補が出る場合がありますがその中で「一番きれいっぽい響きの単語」を選んでください。

※うねあしねす・・・?読めねぇよ

次はその英語をカタカナに置き換えてください。
読めない場合はとりあず強引で良いかと思います。
間違ってもYahoo知恵袋で聞かないで下さい。

Premonitionの読み方を教えて下さい!

という質問に。

Premonitionの読み方はPremonitionです。しいて言えばprìːməníʃənでしょうか。

というとんちんかんな答えが返ってきて腹が立つだけです。
多分こういう返信はする知恵袋マスターは恋人もいなくて3000万くらい借金をしている可哀そうな人なんです。最初から相手にしないに限ります。

本当の読み方は知らないですが
この中でプリモニションイントゥイションはカタカナにしたときに目に入ってこないですよね。
残念ながら不採用です。

プリモニションイントゥイションも素敵な意味ですが、何しろこの言葉はカタカナ英語として現在の日本人にとっては浸透されてなさすぎます。
これが例えば「プリモーション」とか「インテンション」のような「なんか聞いた事ありそうな気がする感じ」だったら即戦力だったのですが残念でした。

タイトルというのはどちらかというと目でも認識という事を頭に入れておいて下さい。

実は歌詞と「カタカナ英語」というのは深いつながりがあります。

実際多くの人が「watar」「ウォーター」と外国人に言った所で伝わらない事は知っていますよね?
なのに、なぜ未だに日本人は「ウォーター」を使いたがるのか。
それは「カタカナ英語」として長い時間を書けて日本で根付いた結果だと思っています。和製英語に近いですね。

実際会話の途中で「そこのウォーター取って!」とは言わないですよね。
所が日本人は「ウォーター」という文字を見て何のためらいもなく「水」を認識するのです。

昔ロマンシングサガというゲームがあり、そこの登場人物にジェフティメスという人がいました。
すごく名前で損をしてると思います。

実際どこかの国にはある名前かもしれないし音読すると綺麗な響きなのですが目にはまったく入ってこないです。
これは「日本人がそのカタカナ英語に近い文字すら見たことがない」からだと言えます。

これをカタカナ英語として浸透させるにはまだ長い月日がかかるかと思います。

「City」という単語がありますよね。これをカタカナにした場合「シティ」「シティー」ですよね。
我々は普通に使ってますが、でも割とカタカナ英語としての月日は浅いように思います。
1976年10月に発売された伊藤咲子の曲のタイトルは「想い出のセンチメンタル・シティイ」
今では絶滅した表記です。こうやって浸透されたカタカナ英語が生き残る弱肉強食の世界でもあります。

 

「でもどうしてもアタイはPremonitionをタイトルに使いたいのヨ!」という方は
そのまま英語で使用して下さい。

歌詞にその単語は入れないで読み方は視聴者に委ねましょう。
その人たちがプリモニションというカタカナ英語を浸透させてくれる事を願いましょう。
もしくは秋元先生がどこかのタイミングでどこかのアイドルのタイトルに使用してくれる事を願いましょう。
作詞家にはズルさも必要なのです。

さてかなり脱線しましたが今回は第1回目なのでやりやすそうな

ソリチュード
アスラント

でタイトルを作ってみましょう。
ソリチュードに関してはすでに今井美樹や中森明菜も河合奈保子も使用していましたが、もう30年前の出来事とすっぱり忘れましょう。

言ったでしょう。作詞家はズルいのです。早速先ほど浮かんだ「アスラント」と①を並べてみましょう。

永遠アスラント

実際できたら音読します。「えいえんあすらんと」ちょっと読みづらいですよね。

残念ながら不採用です。

色々読んでみた結果「感情アスラント」が読みやすい上に視覚的にも悪くないと思いました。

おめでとうございます。
早速タイトルが出来ました。

それではせっかくなので別のパターンも考えてみましょう。

ソリチュード。

孤独という意味です。悲しい言葉ですよね。
当然我々はタイトルだけではなくその後は作詞をしなければならないので、
全然違う言葉を組み合わせて大丈夫?と不安になるかもしれませんがご安心下さい。

むしろこっちの方が作詞としてはやりやすいくらいです。

青春ソリチュード

青春って綺麗に見えるけど結局孤独なんだろうな。(わかるー)

太陽ソリチュード

太陽っていつも明るく僕たちを照らしてくれるけど、太陽自体は孤独なんだね。(わかるー)

夏空ソリチュード

夏の空ってこんなに綺麗で幸せな気持ちになるのに、でも夜になるにつれて孤独な気持ちになるの。(わかるー)

次から次へと内容まで一緒に浮かんできます。ついでに勝手に共感してくれる視聴者の顔まで浮かびました。

このように、綺麗な単語と冷たい英単語の組み合わせはめちゃくちゃ歌詞にしやすいんです。

強引かもしれませんが、そんなもんです。

個人的には夏空ソリチュードが好きですかね。

さぁもう2曲もタイトルが出来ました。

余談ですが先述した通り70年代にもこの手のタイトルは多くありました。
違いといえば「やたら地名を①に入れたがる」「②はありふれた英単語」です。
とりあえず横浜か横須賀を①にすれば一気に70年代ぽくなると思ってよいです。

横浜シンフォニー
横須賀ナイト

ほら昭和だ。


※参考画像。80年代になっても私たちに70年代とは何たるやを教えてくれた大内和美姐さん。

割と簡単でしょ?

それでは今回はここまで。
次回はBパターンのタイトルについての講座です。

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