【作詞講座vol.7】添削をしよう

みなさんこんにちは。田中守です。

それでは前回考えた「硝子のグラジオラス」
今回は改めて再読し、添削をしましょう。

ちなみに添削するのは全部の歌詞を一旦作ってからにした方がよいです。
パズルのようにやっていくので、1行1行添削しながら作詞をするのは時間の無駄です。とりあえず全体像を把握するのが一番てっとりばやいです。

硝子のグラジオラス

作詞:田中守 作曲・編曲:後藤次利

突然の夕立に
雨宿りの土曜日
一人ぼっちが心に痛い
隣にいつもいた
あなたの優しさを
何故こんな時 思い出してる

あの日 さよならを
告げたあの顔は
とても悲しかったけど

硝子のグラジオラス
濡れてる花びらが
涙みたいにほら光ってる
硝子のグラジオラス
それでも咲いてる
慰めるみたいに
心のグラジオラス

あんなに好きだった
その日は戻らない
もう一度だけ もしも会えたら

あの日 さよならへ
うつむいただけね
もう知っていたくせに

硝子のグラジオラス
泣いてる花びらが
私の気持ちほら気づいてる
硝子のグラジオラス
まっすぐに咲いてる
優しく微笑んで
心のグラジオラス

硝子のグラジオラス
濡れてる花びらが
涙みたいにほら光ってる
硝子のグラジオラス
それでも咲いてる
慰めるみたいに
心のグラジオラス

正直15分くらいで書いた歌詞なので書きあがった時にはそんなに悪い歌詞だとは思わなかったのですが改めて読み返すと、いろいろ修正点がありますね。
基本的には私は韻を踏むとき以外に同じ言葉を使用しないよう心掛けています。
やはり15分で書いた歌詞ですからよく見ると同じ言葉の二重使い等出てきているのでそのあたりを直していきましょう。

突然の夕立に
雨宿りの土曜日
一人ぼっちが心に痛い
隣にいつもいた
あなたの優しさを
何故こんな時 思い出してる

まず1番のAメロに「心が痛い」という表現が出てきてますよね。
おそらくここの歌詞を作っている時にはサビラストの「心のグラジオラス」という言葉自体が浮かんでないので仕方ないと言えばそうなのですが、「心」がダブってます。これはダメですね。差し替えます。

心がダブってる言えば石田ひかりさんのく・ち・び・る♥2が浮かびますが、まぁあれは置いときましょう。

あれはダブっているというか二乗ですしね。


※参考画像。くちびるハートツーと呼びます。

別に最後の「心のグラジオラス」という箇所を変えてもよいのですが、個人的に好きな表現なのでやはりAメロ変えた方がいいですかね。

差し替え方のやり方としては

①ダブっている言葉を近い言葉に置き換える
②フレーズ自体を変えてしまう

どちらかでいいかと思います。

①の場合だと

一人ぼっちが胸に痛いの

等まだ使用していない、しかも同じような意味合いの言葉に置き換えます。
文字数が違う場合は、語尾に「ね」だの「の」だのつけて調子を整えると良いかと思います。

もしも思い浮かばない場合はネットの類語辞典で調べましょう。

②の場合だと

ワンピースの裾 汚れてる

等ともう全部変えてしまいます。

設定等は細かく考えているのでどちらでも出来るかと思います。お好きな方でかまいません。

注意点としては一人称、二人称は統一という所です。韻を踏んでない箇所でも「あなた」なら「あなた」で統一です。
時々、あなたキミが混在している歌詞が見受けますが、本当に素人っぽいので気を付けてください。
そして一人称、二人称については使用数に注意してください。使いすぎは禁物です。

あなたの事が好きなのに
知らん顔で通り過ぎるあなた

なんて歌詞がうかんだ場合は②パターンで変えた方が無難です。

あなたの事が好きなのに
知らん顔で通り過ぎるなんて

とか文字数さえあってれば二人称は省略できる場合がほとんどですので。

話を戻しますが曜日や時間設定は書かれていますけど、どういうシチュエーションで夕立に会っているかが書かれてないですよね。
Aメロは基本的には起承転の起部分ですので付け足しても問題ないかと思います。なので私はそのパターンでやってみます。

ただし、何度もいいますが書ききらないのが重要です。

突然の夕立に
雨宿りの土曜日
一人ぼっちが痛い帰り道
隣にいつもいた
あなたの優しさを
何故こんな時 思い出してる

なんてのはどうでしょう。何の帰り道なのかは書かないでおきます。これがカフェの帰り道等書いてしまうと
不特定多数への共感値を下げるのと同時に、なにしろ矛盾が生じてしまうんですよね。本当に。
そのための書ききらないという意味合いもあります。

一文字余りましたが、まぁここは16分音符に頑張っていただきましょう。

そしてBメロなんですが

あの日 さよならを
告げたあの顔は
とても悲しかったけど

これも「あの日」「あの顔」「あの」の二重使用です。
そしてこれBメロ終わりを逆説で締めてますよね。
「けど」に対する答えを導かずにサビまで持っていって「とても悲しかったけど、どうなったの??」というような余韻を残すという手法にしてみたのですが
少しかみ合ってないように思えます。
あくまでグラジオラスのように強くなりたいって事を思っている主人公なのでここは素直に書いた方が良いかもしれないです。

あの日 さよならを
告げた横顔が
とても悲しかったから

なんてのに変えてみました。
「あの顔」「横顔」にしてみました。
彼の顔の向きを付け加えることによって、目を合わせてくれなかった情景も追加できました。

こんな感じで細かい修正を加えていきます。

硝子のグラジオラス
濡れてる花びらが
涙みたいにほら光ってる
硝子のグラジオラス
それでも咲いてる
慰めるみたいに
心のグラジオラス

細かいですが、

「それでも咲いてる」よりかは
「それでも咲いている」の方が良いですよね。
言葉を丁寧にすることによって美来ちゃんのお嬢様感をアップさせてみました。

それでは二番もやっていきましょう。

あんなに好きだった
その日は戻らない
もう一度だけ もしも会えたら

二番になって仕切り直しの意味も込めて過去の気持ちからスタートさせてみましたが、
「その日は戻らない」なんて表現ちょっと陳腐すぎますね。我ながら。頭でも沸いていたのでしょうか。
そんな事言われなくてもみんな知ってます。

夏井いつき先生ならキレてますねここ。

もう少しうまい表現を探してみましょう。

せっかく「好きだった」と過去形にしているのでその辺りもう少し突っ込んでもよさそうですよね。
絶対今でも好きなくせに過去形にしたことによって少し前へ進んでる感じにしたのですがこれでは意味がいまいち伝わらない気がします。
今でも好きなのかもう過去形だったのか分からなくて、それこそ矛盾しているように思われても仕方ありません。
変えましょう。

あんなに好きだった
全てが好きだった
もう一度だけもしも逢えたら

こんな表現はどうでしょうか。
「好きだった」を二回繰り返すことによって「あの恋はもう過去形」と自分に言い聞かせる感じになっていませんかね?
同じ表現を二回使用してますが、まぁ私のなかでここのメロディは韻を踏んでるのでよしとします。

気になるような方は

あんなに好きだった
全てを愛してた

等に変えてもよいかもしれないですね。ただ、19歳のこむす…美少女に「愛してた」なんてセリフ早いと思うので
個人的には「好き」で通そうかと思います。
「会えたら」「逢えたら」と漢字を変更してみました。対して意味は違わないと思いますけど
なんかこっちの漢字の方がおしゃれな気がします。
それだけです。

あの日 さよならへ
うつむいただけね
もう知っていたくせに

これも余韻のためにさよなら「へ」としたのですが(どっちがうつむいたのかを一瞬惑わせる作戦)うまく作用してないですよね。
あくまで美来ちゃんの前向きな姿勢を表現したいのでここも素直にした方がよさそうです。

あの日 さよならに
うつむいただけね
とっくに気づいてたのに

こんなのはどうでしょう。「もう知っていたくせに」という表現もちょっとわかりづらいので「振られることをすでに気づいていた」感をだすために
「とっくに気づいていたのに」としてみました。
こうするとお嬢様のくせに若干の投げやり感がでているので、受け止めたくないのに受け止めざるをえない状況っぽくなったかな。と。
ただし二番のサビに「気づいている」とすでに使用してしまってるんですよね。そこも変えていかないと…。
めんどくさいですが仕方ないです。
表現的には「気づく」の位置づけは二番Bメロの方が良いかなと思います。

硝子のグラジオラス
泣いてる花びらが
私の気持ちほら気づいてる
硝子のグラジオラス
まっすぐに咲いてる
優しく微笑んで
心のグラジオラス

やっぱり先ほど気づいてるを使用してしまってるのでここは要修正になりますね。
まぁでもこんな箇所どうにでもなるので、適当に変えてみましょう。
まぁ正直「気持ちに気づく」ってのも表現としては「気の二重使用」っぽいですしね…。

硝子のグラジオラス
揺れてる花びらが
元気出してと後押ししてる
硝子のグラジオラス
まっすぐ咲いている
優しく微笑んだ
心のグラジオラス

こんな感じにしてみました。
なんかそういえば美来はグラジオラスを擬人化してたんですよね。
だから、グラジオラスに元気だしてと後押しされてもおかしくないとおもいます。
まぁ正気ではないですが。

そうすると「泣いてるグラジオラスが元気出してと後押しする」という表現がさすがに擬人化しすぎてやりすぎに見えます。
「揺れてる花びら」なんて表現にして客観的にしてみました。
そうすると二番サビでは雨はすでに止んでいるのか、それともまだ降っているのかという余韻も視聴者に与えることができますよね。
こういう何気ない表現で与えるイメージは結構かわってしまうので注意してください。

そして「揺れてる花びら」という、当たり前の表現を使うことによって、後の擬人化された部分も美来ちゃん自身の気持ちに聞こえてきませんか?
こっちにしましょう。
最後の「優しく微笑んで」もそこで文を切ってみたのですが「心のグラジオラス」が浮いてしまっているので「優しく微笑んだ心のグラジオラス」としてみました。先ほどの「揺れてる花びら」のおかげでここまで擬人化をしてもそこまでくどくないかと思います。これでいきましょう。

さぁ出来ました。もう一度読み返してみましょう。

硝子のグラジオラス

作詞:田中守 作曲・編曲:後藤次利

突然の夕立に
雨宿りの土曜日
一人ぼっちが痛い帰り道
隣にいつもいた
あなたの優しさを
何故こんな時 思い出してる

あの日 さよならを
告げた横顔が
とても悲しかったから

硝子のグラジオラス
濡れてる花びらが
涙みたいにほら光ってる
硝子のグラジオラス
それでも咲いてる
慰めるみたいに
心のグラジオラス

あんなに好きだった
全てが好きだった
もう一度だけもしも逢えたら

あの日 さよならに
うつむいただけね
とっくに気づいてたのに

硝子のグラジオラス
揺れてる花びらが
元気出してと後押ししてる
硝子のグラジオラス
まっすぐ咲いている
優しく微笑んだ
心のグラジオラス

硝子のグラジオラス
濡れてる花びらが
涙みたいにほら光ってる
硝子のグラジオラス
それでも咲いてる
慰めるみたいに
心のグラジオラス

だいぶよくなったのではないでしょうか?
出来れば推敲は何回も繰り返した方がよいです。

改めて読み返すとまた違ったミスに結構気づくものなので。

それでは今日はここまで。

私はあつまれ!どうぶつの森をやりたくて仕方ないのです。

次回は、某虹組メンバーに実際に書いてもらった歌詞への添削です。
みなさんも公開処刑されてもよいのであればペンネーム込みで私あてにDM送ってくださいませ!

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